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菅原さんの教え「だいたい」「だと思います」「多分」の禁止

営業マンとしての「だいたい」「だと思います」「多分」の禁止

当時新卒入社の私には30代前半の穴田さんと菅原さんという2人の先輩がいた。
菅原さんはあまり多くを話すタイプではなく、アドバイスをすることも少なかった。
一方で穴田さんは自分の考えや教育方針をはっきり伝えるタイプで、私は当時、よく叱られていた。

しかし、菅原さんからの一つの教えは、私が今後営業マンとして活動する上で非常に意義深いものだった。それをここで記述したい。

その頃、私の売上は芳しくなく、担当する取引先も少なかった。3社担当していたものの、1社は取引を停止され、横浜のスーパーとの取引も春と夏を除く定番商品の商談が難しい状況だった。唯一、川崎の企業だけが私が週に一度訪れることができたので、実質的には週の4日間はほとんど仕事がなかった。忙しい時期には、流通センターでの出荷作業のサポートをするくらいで、実際に仕事をしているように見せかけるのも疲れていた。

売上が伸び悩んでいることを理由に、部長からは何度も叱責を受け、精神的にも厳しい時期だった。その状況を菅原さんが知っていたようだ。

ある日、部長に叱られた後、菅原さんに呼び止められ、彼の真剣な表情の下でアドバイスを受けた。

「お前はいつも言い訳ばかりしてる。」
「”多分”、”と思います”、”だいたい”… そんな自信のなさそうな言葉を使うな。」
「そのような曖昧な言葉を使うから、商談が成功しないんだ。」

といったことを、菅原さんは私に伝えていた。

部長からの叱責に続き、菅原さんからも厳しい言葉を受けることになり、それは私にとってさらなる精神的なダメージとなった。

しかし、彼の指摘は正確で有益なものだった。それにより、私は以後、商談の際には曖昧な言葉を避けるよう心掛けるようになった。確実に断言するような言葉遣いが相手を説得する力になるのだと気づかされた。

このアパレルインテリアの会社では、具体的な営業テクニックは特に教わらなかった。だが、営業マンとしての基本的な態度や言葉遣いの重要性についてのアドバイスは、技術やテクニックを超えて重要なものとして受け止められた。

この後は出来の悪い僕は転職して一時は代理店で表彰されるくらいの営業成績をあげる営業マンになれたのも
この菅原さんの教えがあったこそだったと思っている。

今も時々、菅原さんの言葉を思い返し、その教えを日常に生かしている。そして、彼に深く感謝している。

僕の人生はいつもそうだが一見辛い時辛いことがあった時の方がその後少しづつであるが、成長を
得ている気がする。