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2023-11-27

アルバイト

東京デジタルフォンとカメラ量販店の板挟み

当時派遣店員の存在意義は売上より店との関係が重要

板挟み
当時、派遣店員がなぜ派遣されていたのかというと、通常のメーカーの派遣店員の位置づけは、表向きは自社商品の販売のために店に送り込まれることになっていた。しかし、実際は異なっていた。自社の商品だけを売るのではなく、ほぼ通常の社員と同じ働きをすることが暗黙の了解となっていた。例えば、他社の商品でもお客さんが気に入れば販売する必要があったり、レジの応援もしなければならなかった。お店側も、メーカーの派遣店員をプロパーの販売応援スタッフとして使っていた。

そして誰も口にしなかったが、自社の商品だけを売る派遣店員は、社員や周りの派遣店員から嫌われていた。これが実際の状況だった。

では、なぜメーカーは派遣店員を派遣するのかというと、販売リベートの代わりとして定番商品をより多く出すことが目的だった。売れ行きの良い店舗では、定番商品が置かれていれば、派遣店員がいようがいまいが売れるのである。そのため、メーカーは派遣店員を導入することによって、直接的な売上を期待していなかったと思われる。むしろ、店舗との人間関係を良好に保つことや、定番商品の置かれる場所を確保することが重要だった。そのためには、派遣店員が店の人間に好かれることや、派遣店員としてではなく、フロアスタッフとして社員と協力して売り場の総売り上げを上げることが重要だった。逆に、派遣店員を置いていないメーカーは、定番商品が目立つ場所から外されてしまっていたと思う。

お店の人と仲良くするためには、ある程度自社以外の商品も販売することが必要だ。特に忙しい時はなおさらである。しかし、東京デジタルフォンから見れば、私のそのような行動が気に入らないらしく、とにかく店の手伝いよりも自社の商品を売ることに専念するよう指示された。私は非常に困ってしまった。

12月繁忙期にデジフォン社員の方も応援に来る

繁忙期
週に1回のミーティングがあるのだが、私はデジタルフォン以外のことに時間を費やしていると、所長に責められることがあった。とにかく「売れ、売れ」と販売台数を求められた。K所長は威圧感が非常に強く、ケンウッドからの出向者のようだったが、いわゆるバリバリの営業部長という感じの人物だった。

12月も中旬を過ぎると、ボーナス支給のバーゲンセールを行う家電量販店で売上が最も上がる時期になる。デジタルフォンでは、私一人では手が足りないため、西村さんという社員が応援に入ることになった。西村さんは当時40歳半ばだったと思う。確か日本テレコムからの出向者だった。横浜営業所には所長を含めて他に3人がいたが、その中でも西村さんはあまり仕事ができそうになかった。K所長も西村さんを不器用だと思っていたようだが、対応は他の2人とは異なっていた。私は西村さんに特に恨みはなかったが、今思うと、あまり親切に対応していなかった。

とにかく、Yカメラ量販店は平日でも常に忙しい。いきなり入店すると、お客さんから質問攻めにされ、慣れるのに苦労する。西村さんも戸惑っていたが、私は今思うと、わざと西村さんが困っている時も無視していた。その気持ちは「自分はこんなに大変なのを分かってほしい」という思いが奥底にあった。その気持ちのぶつけ先は西村さんではなく、K所長だった。西村さんにあまり親切にしないことで、私はK所長に対してやつあたりしていた。西村さん以外にも、牟田さんという契約社員の女性がいたが、私は彼女に対してもそっけなく、辛く当たってしまった。忙しいと言い訳して、わざと無視したこともあった。これもK所長に対する反抗心からだった。

また、K所長に対して納得がいかないのは、なぜかいつも大変なお店に西村さんを入店させることだった。もう一人の名前は忘れたが、少し偉そうな感じの社員がいたが、その人は口では偉そうに研修などをしていたが、現場のお店には一度も入らなかった。そこにK所長の不公平さを感じた。自分の勝手な思い込みかもしれないが、西村さんのような弱者を大変な店にいつも入店させていると思うと、私は西村さんが非常に気の毒に思えた。

K所長にブチ切れる


仕事に慣れるにつれて、お店の人間関係は良好になっていたが、逆に東京デジタルフォンとの関係は悪化していた。あからさまに巡回の人を無視することもあった。たしか2月頃のラスト1か月のころだったと思うが、K所長があまりにうるさいので、感情的にキレてしまい、「お店のマネージャーに

仕事について話して、他の仕事をしなくて済むように直接言ってくれますか」と切れ気味に言ってしまった。売り言葉に買い言葉で、K所長も「それはお前が直接店の人に言うべきだろう」と反論してきた。その結果、非常に気まずい雰囲気になってしまった。

僕は言いたいことを言ってしまったが、よく考えてみると、東京デジタルフォンの立場が正論だった。僕にお金を出しているのはカメラ量販店でもライオン社でもなく、元々は東京デジタルフォンだ。その顧客に対して噛みついてしまった。今思うと、もっと適切な対応の仕方があったかもしれない。少し反省している。

普通に考えれば、僕は解雇されてもおかしくなかった。正直、解雇されることを覚悟していたが、特にライオン社からの連絡もなく、そのまま契約終了日まで仕事を続けることができた。